東北エネルギー懇談会

お知らせ

「ひろば」519号 発行

2023.07.25|広報誌

特集

福島の処理水放出 ~情報を読み解くヒント〜
工房YOIKA 代表
元読売新聞東京本社・論説委員 井川 陽次郎氏

(本文要約)

・東京電力福島第一原子力発電所に保管されてきた処理水は、1000基を超える巨大貯水タンクに貯蔵され、広大な敷地を埋め尽くしている。なお増えれば肝心の廃炉作業を妨げかねない状況となっている。海洋放出は大きな一歩だが、懸念されるのは国内外からの妨害工作、とりわけ観光や農水産物に悪影響を及ぼす風評「加害」だ。

 

・メディアによる風評「加害」を食い止めるために、まず多くの人に基礎知識を身につけてほしい。覚えておくべきポイントはそう多くない。東京電力が用意している特設サイト「ALPS処理水についてお伝えしたいこと」の18枚のイラスト図解は、最もシンプルにまとめられている。

 

・たとえば海洋放出する処理水のトリチウム濃度は、国の基準の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1とする方針であること。年間のトリチウム排出量は韓国の古里原子力発電所から91兆ベクレル、中国の秦山第三原子力発電所から124兆ベクレルであるのに対し、福島からは22兆ベクレルであること。

 

・さらに計画的に海水や魚などを測定・分析し、すべての分析結果をWEB上で公開していること。安全性については国際原子力機関(IAEA)や世界各国の専門家に確認してもらっており、処理水を加えた海水で魚や貝を飼育してWEB公開していると結んでいる。

 

・浄化が十分でないまま海洋放出されるかのような報道や活動団体の発信を見かけたら、「トリチウム以外は除去」というイラスト図解をつけてSNSなどで発信すればいい。残念ながら、国内外のメディアの対応に十分注意するしかない。これまで、どんな報道をしてきたのか、経緯について十分に勉強しているか、そして事実に基づく報道か、しっかりと見極めていきたい。
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せとふみのereport

エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―~東京電力リニューアブルパワー株式会社神流川発電所~
サイエンスライター 瀬戸 文美氏

(本文要約)

・神流川発電所は、群馬県上野村の地下500mの深さにつくられた、上部ダムと下部ダム間の653mの落差を利用して発電を行う、合計出力94万kWの揚水発電所である。

 

・この揚水発電所は、ただ発電するだけでなく、他の再生可能エネルギーによる発電量の変化を調整するための「大きな蓄電池」としての役割を担っている。余剰電力を使って下部ダムから上部ダムに水を汲み上げ、電力需給ひっ迫字などには貯めておいた水を使って発電し、電気の消費量と発電量のバランスをとり、電力の安定供給に貢献している。

 

・今回、東京電力リニューアブルパワー渋川事業所の土木保守グループに所属する池本龍平さんに話を伺った。現在入社2年目で、ダム・水路などに設置されている計測機器の計測値を遠隔監視し、必要に応じて現地で検査・確認を行う重要な業務を担当している。

 

・工事や設備の構造、水の運用などを勉強し、自信を持って業務に取り組みたい。現場では、土木の技術者でも、電気の技術者でも、お互いの業務がわかる「多能化」を図ることが必要と考える。将来は会社の仕組みを革新するような仕事に関わりたい、と仕事への想いを語った。

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放射線のおはなし

放射線によるDNA損傷の修復と遺伝子変異
東北放射線科学センター 理事長 宍戸 文男氏

教えて!坪倉先生 気になる“ ほうしゃせん”

トリチウムって、なに? ―その2―
福島県立医科大学 医学部放射線健康管理学講座 主任教授 坪倉 正治氏

トピックス

東北エネルギー懇談会2023年度定時総会を開催

エネルギーを学ぶ・伝える・考える

魚沼市立広神西小学校(新潟県魚沼市) 田沢 健太氏

 

以上

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