東北エネルギー懇談会

ひろば515号|せとふみのe report <要約版>

「脱炭素へ期待の取り組み」次世代ガスタービン
サイエンスライター 瀬戸 文美氏

・2022年12月の営業運転開始に向けて準備を進めている東北電力上越火力発電所は、最新鋭のガスコンバインドサイクル発電で、高効率の燃焼と得られた燃焼エネルギーの無駄のない活用に取り組んでいる。最先端技術の次世代ガスタービンを導入した火力発電所の電力の安定供給に向けた取り組みを紹介する。

 

・コンバインドサイクル発電とは、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式のこと。熱エネルギーを無駄なく使用できるため、従来のガス火力発電の熱効率が40%台前半であるのに対し、上越火力は63%以上にすることを目指している。

 

・上越火力は、燃料を燃やして燃焼ガスを発生させる「燃焼器」を冷却する方法として「強制空冷」を採用している。これにより燃焼器を冷却する際に回収した熱を、ガスタービンに利用できるなど、燃焼で得られた熱エネルギーを無駄なく活用することで、高い熱効率を実現できる。

 

・地震や津波などの自然災害への対策も行っている。地震対策としては、基礎工事で地盤まで60mを超える杭を約500本使用し、煙突などには制震装置を設置。津波対策としては、電気系統設備などを建屋内の高い位置に設置している。

 

・再生エネの活用も進んでいるが、天候や季節によって変動がある太陽光や風力の発電量に応じて可不足分の調整役を担う火力発電がないと困るのが実態だ。そのため、低炭素化と安定供給を両立できるベース電源として、上越火力のような火力発電所が必要である。

 

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