エネルギーミックスを支える現場から―技術者たちの思い―
~電源開発株式会社 郡山布引高原風力発電所~
サイエンスライター 瀬戸 文美氏
・郡山布引高原風力発電所は、国内でもいち早く風力発電に取り組んだJ-POWERグループが運営する23地点の風力発電所の中でも、国内最大級となるウインドファーム。猪苗代湖の南に位置する会津布引山(標高1,081m)の高原に33基の風車が設置され、力強く再生可能エネルギーを生み出している。
・33基合計の出力は65,980kWで、一般家庭約35,000世帯分の電力消費量に相当する年間12,500kWhを発電し、年間約51,000tもの二酸化炭素を削減する。
・風車の周辺は農地も多く、ここでは発電と農業との共生が図られている。広大な農地では地域の名産である布引大根などが栽培され、休耕地では季節の花が育てられる。夏にはひまわり、秋にはコスモスと風車が一望できる観光スポットとして親しまれ、人の営みと自然とエネルギーの調和を見出すことができる。
・今回お話を伺ったのは風車の保守管理を担っている株式会社ジェイウインドサービス 郡山布引事業所の結城大佑さん。風車そのものの操作や点検・確認などはもちろんのこと、風車設置場所周辺やアクセス道の倒木伐採や草刈り作業、冬季の除雪、また作業の妨げになるカラスの巣の撤去など、その業務は多岐にわたる。
・オートフライト機能を搭載したドローンによる風車ブレードや送電線の精度の高い安全点検作業には力を入れている。ドローン導入により、作業者は危険な場所に近づくことなく安全に点検できる。私たち発電や電気に関わる仕事をしている者にとっていちばん大事なのは安全。安全から電気の安定供給が生まれる。安全をともにつくり上げていく「人の力」「人のつながり」が大切と思っている、と語った。

