らくらく節約術で エコフレンドリーな生活
消費生活アドバイザー 丸山 晴美 氏
・いろいろな商品・サービスの値上げラッシュは、新型コロナ禍の中で徐々に始まった。コロナ明け以降もウクライナ戦争や中東紛争、急速な円安により、原材料費やエネルギー価格が高騰し、物流費や人件費も上がった。しかし、こうした厳しい時代の中でも日々のやりくり術などを通して効果的な節約生活をおくり、この時代を乗り切るためのエコにもつながる生活について考えてみたい。
・まず、これまでの電気料金の推移を振り返ると、東日本大震災が一つのターニングポイントだった。国内全原子力発電所の稼働停止により火力発電への依存度が高まり、化石燃料の価格上昇もあって電気料金の値上げが続いた。2012年FIT制度が導入され、再エネ賦課金を徴収。2019年10月消費税率10%に引き上げ。2021年1月には市場連動型の電気料金が日本卸電力取引所での卸電力価格の高騰により、通常の10倍に跳ね上がった。2022年ロシアのウクライナ侵攻により天然ガス価格が高騰し、さらに円安相場もあり電気料金の値上げ傾向が続くこととなった。
・2024年4月からは「容量拠出金制度」が新設され、小売電気事業者などが容量市場における対価を支払うこととなったが、一部の新電力では「容量拠出金反映額」として電気料金に加算しており、該当する消費者はますます負担感が増した。政府はエネルギー価格の「激変緩和措置」として2023年1月から2024年5月使用分までと、「酷暑乗り切り緊急支援」として2024年8月から10月使用分まで3カ月間の補助を行ったが、それ以降は再び負担が重くなる見込みだ。
・節電など節約の取り組みで大切なのは、上手に使って賢く節電すること。資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」では、暖房費を節約しつつ快適に過ごす室内設定温度は「20℃」が目安で、暖房は必要な時だけつけるなど、効果的な節約方法が示されている。古い家電から最新の家電に買い替えることでも節電効果が期待できる。環境省「しんきゅうさん」ではどれくらい節電効果があるかシミュレーションできる。製品に表示されている「統一省エネラベル」もチェックしてほしい。
・「エネルギー白書2024」では、燃料価格の高騰と円安で、化石燃料の輸入金額が2年間で22.4兆円増加と報告されている。日本が晒される価格高騰リスクなどの根本解決には、エネルギー危機に強い需給構造への転換、つまり、国内自給率を上げることが今後の電力の安定供給と電気料金安定化のカギとなる。再エネ・火力・原子力など各電源のメリットを生かしバランスのとれたエネルギーのベストミックスを実現していくことが大切だ。生活面では、今は環境に関する補助金や税制優遇制度が数多くあるので上手に活用していきたい。