東北エネルギー懇談会

ひろば515号|特集1 <要約版>

処理水放出問題でいまメディアに何が求められているか!
〜事態を解決しようとする当事者意識の有無がカギを握る〜
メディアチェック集団「食品安全情報ネットワーク」共同代表 食・科学ジャーナリスト 小島 正美氏

・東京電力福島第一原子力発電所の処理水の放出が成功するか否かは、原発事故に伴う放射線の影響を国民がどの程度正しく受け止めているかにかかっている。福島への風評被害を防ぐためにも、メディアは放射線の影響を的確に報道すべきだが、「安全なら報じる価値がない」と、安全情報を軽視する傾向がある。

 

・放射線影響がないとわかれば、福島県や福島産食品へのイメージはよくなる。福島の地方紙は「当事者意識」をもって「健康へ放射線の影響なし」と正しく報じた。メディアは安全なニュースを報じない習性があるが、今後はその姿勢を転換する必要があるだろう。

 

・他国からの批判に対し、メディアは「その批判はあたらない」と科学的事実を突きつけるほどの当事者意識をもたなければ風評は収まらない。風評はメディアが介在して初めて国民全体に伝わるものであり、自らの記事が風評をつくり出してしまうという自覚をもつことが、いまのメディアに最も必要なことだ。

 

・処理水の放出をスムーズにするためには、メディアが何を問題にしているかをしっかりと把握し、その解決に乗り出すことも必要だ。文言の解釈は読み手によってさまざまなので、政府や東京電力は、わかりやすい説明をメディアに提示する必要があるだろう。

 

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