東北エネルギー懇談会

ひろば511号|特集1 <要約版>

海外の脱炭素政策から日本が学ぶべきこと
常葉大学名誉教授 山本 隆三氏

・日本や米、英などの主要国は、2050年までの脱炭素を宣言した。しかし日本は、少子高齢化や経済の低迷など、他の主要国とは状況が異なる。日本は他国と同様の脱炭素戦略を進めることができるのか、またどのように戦略を進めれば「環境と地域経済の好循環」となるのだろうか。

 

・再エネ主力電源化を行った他国では、CO2は減少しても電気料金の高騰や天候による発電量不足などで停電が発生した。日本でも再エネ導入だけを進めれば同様のことが起こると懸念される。電力の安定供給には原子力の活用など電源の多様化が必要だ。

 

・再エネ導入で地元が得られる恩恵は一時的な雇用が中心。エネルギー・電力供給で地域創生を考えるならば、再エネの導入ではなく、雇用を生む付加価値額が高い産業を地元でつくり出すことが大切だ。

 

・エネルギーの地産地消には水素製造が適している。他国と異なり国土が狭い日本では、安全性に優れ、コストが安いとされる新型の原子炉、小型モジュール炉(SMR)を水素製造に活用することとし、その設置水素需要地である工業地帯などで検討することが必要になる。日本がその技術を導入すれば、地域に付加価値額の高い輸出も可能な産業と雇用を生み出せる。

 

・地域に雇用が増え、高付加価値をもたらす事業が育てば、少子化も止まる可能性が高い。地元企業は、まず脱炭素に必要な既存原子力発電所の再稼働を進め、エネルギーコストを削減し、エネルギーコストを削減し、新規事業や投資に向けた体力をつけることが重要だ。

 

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