サラリーマンの昼のオアシス

チーナン食堂(いわき市)

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元気印の「ノブちゃん、ケイちゃん」 
賑やか空間にお腹も心も満たされて
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「お客様に楽しませてもらっている」と国井信子さん(右)、片根恵子さんの双子姉妹

「お客様に楽しませてもらっている」と
国井信子さん(右)、片根恵子さんの双子姉妹

港町の看板双子姉妹

いわき・小名浜漁港のほど近く、潮の香りが漂う一角に「チーナン食堂」はある。店名は戦時中、満州鉄道で働いていた創業者の親族が中国の都市・済南(チーナン)で営んでいた食堂の名前が「チーナン食堂」だったことから命名した。

店は午前11時の営業開始だが、その前にはもう、なじみの客が暖簾をくぐる。「ノブちゃん、ケイちゃん」こと国井信子さん片根恵子さん双子姉妹がハキハキと注文に応じ、いつの間にか営業が始まる。ランチタイムになると客の出入りはひっきりなし。よく通る姉妹の声とともに店内は活気づく。

人気は麺類と半サイズのご飯もののセット。チャーシュー麺と半チャーハンのセットは、肉厚のチャーシュー6枚が麺を覆っている。チャーハンは「半サイズ」と思えぬボリューム。半カレーもしかり、一人前として出されても十分お腹は満たされる。

商売の楽しみ

創業は1953年。食糧事情が悪かった時代に二人の母が小名浜で食堂経営に乗り出した。それ以来、70年余にわたり家族経営を続けている。

恵子さんは若い頃、この商売が好きではなかったそうだ。高校卒業後は東京に出たいと思っていたが、次第に客とのかかわりに面白みを感じ始めた。「お客様の喜怒哀楽を受け止めることも、計り知れない愛情を頂くこともあります」と恵子さん。

つらい時、「お客様からの愛情」を肌で感じることが何度もあった。東日本大震災で一時、店を閉じたものの、2カ月後には再開。復興に携わる人やボランティア、常連客らで店はすぐ軌道に乗った。コロナ禍では客の入りが2割ほど減ったが、テイクアウトの大皿を注文しに来てくれる遠方の客も多かったと恵子さんは今でも思い出す。

これからも青春

ノブちゃん、ケイちゃんの笑顔に元気づけられ、ファンになった人も多い。常連客の一人が「笑門来福」と書かれたステッカーを作ってくれた。もちろん非売品だが、これを欲しがる人がいて、小名浜港に寄港した漁業関係者が「ヘルメットに貼りたい」と申し出てきたことも。「お客様が当店を宣伝しようとしてくれるんです」と恵子さん。

笑いと客足が絶えない店の看板姉妹は「お客様と、この商売を残してくれた先祖に感謝。体が続く限り仕事を続けたい。これからも青春です」と口を揃える。

人情食堂ならではのチャーシュー麺と半チャーハンセット

人情食堂ならではのチャーシュー麺と
半チャーハンセット

コレが常連客が作ったステッカー

コレが常連客が作ったステッカー

丼からはみ出すボリュームのかつ丼

丼からはみ出すボリュームのかつ丼

カツカレーはこのボリューム

カツカレーはこのボリューム

店舗情報

チーナン食堂

いわき市小名浜字栄町66-30
Tel 0246-92-2940
営業時間:11:00~16:00
定休日:火曜日

ちょっと足を延ばして 
お立ち寄りスポット

塩屋埼灯台

塩屋埼灯台

青い海に映える白亜の灯台。全国でも珍しい「登ることのできる灯台」。最上階から眺める太平洋の大海原は絶景。「日本の灯台50選」にも選ばれている。

【問い合わせ・アクセス等】いわき市観光サイト
https://kankou-iwaki.or.jp/spot/10143

いわき湯本温泉

いわき湯本温泉

「美人の湯」と絶品海鮮料理を楽しめる。温泉宿の女将でつくる「フラ女将」がお出迎え。

【問い合わせ・アクセス等】いわき市観光サイト
https://kankou-iwaki.or.jp/spot/10053