復興・浪江を「食」でリード

海鮮和食処 くろさか(浪江町)

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復興途上の町にできる行列 
本格寿司職人のビジュアルへのこだわり
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黒坂千潮さん(右)、里美さんご夫婦 休日は温泉でリフレッシュ

黒坂千潮さん(右)、里美さんご夫婦
休日は温泉でリフレッシュ

生まれ育った町で

昼時になると、「海鮮和食処くろさか」の前は店内に入れない客でごった返す。早い日にはランチ営業終了の時刻より前に品切れ。地元客や出張客らで賑わう人気店である。

包丁を振るうのは店主の黒坂千潮(ちしお)さん。東京で腕を磨いた寿司職人だ。東日本大震災の後、「生まれ育った町で居心地のいい空間をつくりたい」と2021年3月、今の場所に開業した。

イチ押しは海鮮丼。黒坂さんの「どれだけキレイに見せるかにこだわっています」との言葉通り、彩りが豊かだ。常磐ものをはじめ、新鮮な海の幸が載った逸品。海鮮丼の他には、アジフライや唐揚げなど定番の定食ものも人気だ。

仮設商店街からの出発

黒坂さんは高校卒業後、東京で寿司職人としての一歩を踏み出した。修行を積み、30歳頃には自分の店を経営するまでになった。

震災時は埼玉にいたが、黒坂さんの「故郷・浪江の復興に貢献したい」という思いは強かった。故郷に戻る決意を固めたのは、浪江町役場近くに仮設商店街ができるタイミング。2016年10月、まずは仮設店としてオープンした。

その当時の町の様子といえば、周辺にコンビニエンスストアが1軒あるぐらい。幼い頃から知る町の賑わいは跡形もなかった。食を提供する場が少ないのを目の当たりにし、「これで自分も何か貢献できると思いました」と、黒坂さんは当時を振り返る。磨き続けた寿司職人としての技を、故郷の復興に役立てようと前へ進み始めた。

仮設店を経て、現在の地に瀟洒な店舗を構えた。モダンな空間にも、黒坂さんのビジュアルへのこだわりが垣間見える。

居心地の良い空間を

浪江駅前では再開発が予定されている。故郷にまた少しずつ賑わいが戻ってきそうだ。黒坂さんは「町に、店に来てくれる人に、これからも居心地の良い空間を提供していきたいです」と思いを語る。妻の里美さんとともに、地域の賑わい創出に貢献しようと前を見据えている。

ビジュアルにこだわった海鮮丼

ビジュアルにこだわった海鮮丼

プロの目利きによる本マグロ刺盛は驚きの厚さ

プロの目利きによる本マグロ刺盛は驚きの厚さ

肉厚でフワフワのアジフライ

肉厚でフワフワのアジフライ

店舗情報

海鮮和食処 くろさか

浪江町大字権現堂字新町31-2
Tel/Fax 0240-34-7250
営業時間:11:00~14:00、17:30~21:00
定休日:日・月曜日

ちょっと足を延ばして 
お立ち寄りスポット

東日本大震災・原子力災害伝承館

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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の実態や、復興に向けた歩みを展示。

【問い合わせ・アクセス等】
https://www.fipo.or.jp/lore/

道の駅なみえ

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請戸漁港で水揚げされた海鮮や「なみえ焼きそば」などご当地グルメが味わえる。陶芸体験教室などもある。

【問い合わせ・アクセス等】
https://michinoeki-namie.jp/